ロアー

マネートレーダー/銀行崩壊のロアーのレビュー・感想・評価

3.0
金融の知識はさっぱりないものの、ひとりの男の成功と転落と言う面でかなり面白い映画だった。

劇中に出てきた「取引場はカジノだ」という言葉通り、ギャンブルが破綻するのと同じパターンで人知れず崩壊していく銀行。
負けた分は次で取り返せばいいとどんどん損失が増えて行き、気がついたら取り返しのつかないことに...ずっと負けが続いていればある程度のところで引き返せたかもしれないけど、1度それでうまく盛り返してしまったことが「ほらやっぱり大丈夫」という過信に繋がって泥沼にはまってしまったんだろうな。経営側の管理の杜撰さも要因ではあるので、一概にひとりの責任とも言い難いけど、文書偽造まで始めてしまった時は思わず「あ~あ...」とため息が出ちゃった。

そんな銀行を崩壊させた男ニック・リーソンを演じたユアン。
勢いに乗ってる時のはつらつとした様子、損失が嵩んで憔悴した様子などなど、今回の役は演技力が分かりやすく目にみてとれて好きでした。
でも、めちゃくちゃ窮地でしかないのに、ニック本人が案外能天気でビックリ!

いつ損失がバレるかとストレスで吐いたり、会社のパーティーに行きたくなくてグズったり、かと思えば奥さんとイチャつき始めたり、逃亡中も冗談を言ってニコニコしてたり...捕まった時の様子をみると、もはや正常な判断ができなくなっちゃってたんだろうな。でもその後、獄中で『私がベアリングズ銀行をつぶした』と言う本を書いて、こうして映画にもなってるわけで..."世の中何事も金になる"、そんなもんか。

その他にも、結構ユアンファン的に嬉しいシーンがたくさん。取引所で目立つため、阪神タイガースのファンみたいなジャケットを来てるユアン、メガネ姿のユアン、ハンドサインをしてるユアン、両耳に受話器を持って電話してるユアン...舞台がシンガポールなので、短パン姿が多めだったり、水着姿にサンタ帽にボクシング姿ととにかく盛りだくさん。
"シンガポールの尻出し男"と呼ばれてるのには声を出して笑ったし、役員会議で「何故彼は尻など出したんだ?」って真面目に議論されてるのも面白かった。
ロアー

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