ちろる

ローラーガールズ・ダイアリーのちろるのレビュー・感想・評価

4.4
少女から大人に変わる大事な時期を宝物にするための青春のあれこれを、バランスよく入れ込んだなんだかとっても愛おしい作品です。
母親の呪縛の中に閉じ込められて、1人じゃ何もできない大人しい少女役というのが、一匹狼的で大人に反抗的な役柄の多かった今までのエレン ペイジの役柄とは違って意外だったけど、ストーリーが進むにつれてどんどんエレン ペイジらしい、おてんばでキュートな魅力が爆発していきます。

主人公ブリスがひょんな事から出逢うローラスケートのスポーツは全く知らないし、そもそも私はバイオレンスなスポーツは観るのも好きではないけど、このローラガールズは本当にセクシーで、時に暴力的に戦う女性たちって美しいなと感じて素直に羨ましかった。

10代の少女の青春ストーリーなのかと思ったら、実はチームメンバーのほとんどが30代のお姉さんたちで、筋骨隆々なたくましい身体の大人な女性たちの中でまだ少女らしさの残る小さな身体のブリスが弾丸のようにスケートリンクを駆け回る姿は本当にエキサイティング。
もう一度試合のシーンだけをまとめて観返して観たいくらいにハマります。

因みにブリスの最大のライバルであるメイビン役のジュリエット ルイスも10代の頃から死刑囚から殺人鬼まで数々のエキセントリックな役を多く演じてきたとあって出だしから存在感がすごい。あの迫力に蹴落とされない生意気なブリスが最高にイケてます。

思春期の娘にとって母親の存在が実はラスボスだというのはよくあることで、時に酷いことを言ったりしてお互いを傷つけながら壁を破壊して成長しなければいけない時がくるけれど、それは娘だけのものではなくて親の成長の時間でもあるのかもしれない。
親だって完璧じゃなくて時に間違えてしまうことだってあるんだよねという優しい目線も入りつつ親もまだまだ学ぶべきことも沢山あるんだなと伝えているようなシーンもあります。
青春スポ根と親からの自立を描いたストーリーに見せながら、ブリスはちゃんと最後にラスボス母親もグッとさせてくれる最高にかわいい娘でした。

ドリューバリモア初監督にして本当に抜け目のない良くできた佳作。流石、若い頃からエンタメ業界で育ち、酸いも甘いも沢山経験した女優さんだけあるなとしみじみ。
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