やま

晩春のやまのレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
4.2
父と娘の話。娘にはやくお嫁に行って幸せになってほしいと願う父と、周りにはやく結婚しなさいよと言われても、父を一人にできない、父と一緒にいたいと思う娘。
互いに思い合ってるのが、分かる。

能のシーンでの、父親と女の人を見て、目に涙を浮かべて父親に結婚して欲しくない様子を出してる原節子さんの演技が凄い。見ているこちらも父親にそれでいいのかよ!って問いかけたくなる。
原節子さんの笑顔とか涙したりするシーンが29歳と思えないほど可愛い。春のうららの隅田川を鼻歌で歌いながら洗濯してるのが上機嫌な様子で良い。お父さん役の笠智衆さんは独特な優しい喋り方で完璧。

ほとんどのシーンの冒頭に音楽が流れていて、優しい曲だったら優しい雰囲気に包まれる感じで、音楽で雰囲気を作ってる。

小津映画のいいなと思えるのは、対話シーン。冗談言い合ってるシーンや大事なシーン全部いい。しゃべる相手を単体で撮ったり変わってるなーと感じる。熊太郎さんの下りは結構好き。会話の間だったりテンポが良いからこそ、心に来るような会話になってるんだと思う。
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