晩春の作品情報・感想・評価

「晩春」に投稿された感想・評価

ngsm

ngsmの感想・評価

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2017年最初は小津安二郎の名作から

父親と一緒に過ごしたいと願う娘と、娘のことを想って嫁に行かせようと画策する父親の話

京都での夜、宿で2人が語り合うシーンは、ドラえもんの「のび太の結婚前夜」思い出した
さく

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4.0
過去に何度か小津安二郎は観たのだけれど、正直、「何が良いのかわからん…」と映画鑑賞リテラシーの低さを実感するだけで終わっていたのですが、色んな本を読んだり、映画を観たりした上で、久しぶりに観たら「なんか良いかも」と思いました。

話の筋が面白いか面白くないか、みたいな視点でしか映画を観れていなかったころは、そりゃ面白くないですよ、こんなの観ても。常にローアングルから映し出される日本家屋での日本人の所作や、常に斜め正面から映されて語る人とか、△を意識した構図とか、画面全体のバランスを執拗に意識した映像とか、ある種偏執的なこだわりを感じる映像の数々。

今、私は『どうぶつの森ポケットキャンプ』を朝から晩までやっていて、家具の置き方とか動物の所作とか、そういうのを意識して数時間かけてレイアウトを考えたりしているので、小津安二郎の気持ちが痛いほどわかりますよ。

あと、所々挟まれるユーモアがほんとしょーもないネタだったりするのに、異様に笑いのツボを押してきます。笠智衆の織りなす、独特のテンポと間みたいなものに引き込まれて、しょうもない冗談でも思わず吹き出してしまいました。つくづく、笑いというのは間と空気が重要だと実感しました(何の話だ)。
ち

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4.3
娘の嫁行き、親子の愛情みたいなものによって適度に誤魔化されていますけど、小津の、特に晩春には家族の救いようのない歪さみたいなものを感じずにはいられませんね。

壺が性的だみたいな下らない話はしませんが、少なくとも良かれと思って娘を嫁にやる父、娘は尽くしてきた父に裏切られたかのような感覚を覚えるわけです。おじさんに対してポロッと言ってしまった「汚らしい」という強い否定の言葉がここで効いてきます。

つまり娘はこれまでずっと父に尽くしてきたはずがこれからは夫に尽くさなければならない。娘は愛(情)を向ける先を強引に変えられてしまうことに不貞行為のような嫌悪感「不潔さ」を覚えますが、父はそれに気付きつつそして娘の告白によって事実が明るみに出てきても娘を説得してしまいます。結果的に娘は家族愛という圧力にねじ伏せられ嫁に行くことになるわけです。小津の描く家族という枠組みでは誰もが「自分のため」を「相手のため」にすり替えつつ、結局その中で一番声をあげにくい人間に歪みが集積されるんですね。
秋日和の父親バージョン✨
scotch

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3.8
戦後まもなくの鎌倉の風景が美しい。当時の文化や思想が随所に見られます。映画は歴史遺産ですね。
定番の嫁に行くやら行かぬやらの話。本作が始まりなのだとか。適齢期になれば女は嫁に行かねばならぬ、当時の文化ですね、いやこれは今も色濃く残っている気がします。
嫁に行くより父といたい娘、しかしそれを許さぬ文化。父の気持ちも複雑です。

見どころ
・嫁入りが決まっての親子最後の旅、娘がコクリます。どきどきです。
・ラストの父。結局お前もか。
見ようによってはヤバイ映画。壺が映るシーンに性的な論争があるようです。?。

特に大きな事件が起こるわけでもないのに見入ってしまうのは『東京物語』と同じですね。不思議な魔力です。これで紀子三部作、二作制覇。『麦秋』が楽しみです。
1234

1234の感想・評価

4.1
フェミニズムというか「近親相姦」というかこの映画が1949年に出てどういう反応されたんだ?
ほかの小津にくらべて陰影が濃くて、観劇のシーンが長くて、人が動く印象(まあたいして観てないのですが)
あと音楽がグッド
Solo

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4.7
小津が描く『父と娘』
これは心に響く。ウルウルした。

素人でもわかるカット割りの緻密さ、そして何より、嫁に行く娘と父との距離感を表す構図が切なくも、つい、うまいなと思ってしまう。
能を見た後、先に用があると行って先に行く娘と、後を追う父の寂しい背中。嫁行きが決まった日、二人並ぶ布団の最後の晩。

結婚式当日の『良い奥さんになるんだよ。』
この短くも大きな意味をなす台詞に、女の子は育てても嫁に行ってしまう、という父と娘である関係の、一種の避けられない運命的なものを感じた。

最後の笠智衆のあの切ない表情が忘れられない。決して泣く演技はしないものの、それ以上に心に残るものを見せる凄い俳優だと思う。もっと小津の映画に触れてみようと思います。

このレビューはネタバレを含みます

「娘がワイ(パッパ)を好き過ぎて困ってます」状態で、嫁に行くのが当たり前の時代に大変だなあと思いました(小並感)
 原節子が常に満面の笑みだけに、一旦真顔になると物凄く怖いんですがそれは…(震え声)
 そうだなあ、そうかねえ、しか言わない聖なるガバガバ笠智衆もよかったですが、個人的にはウザ頼れるSBBA(世話焼きババア)の存在感が一番凄いと思いました。拾ったがま口財布を絶対届けてない感が最高でした
日常の何気ない会話で物語が見えてくる。この人はどんな性格で、どんな境遇でと…
みんなユーモラスで可愛らしい。
りんごを向くお父さんの表情が愛を物語る。
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