最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の公開前に、
シリーズの全作品をおさらいするため、過去作を一気見。
2006年公開のシリーズ3作目。
監督はJ・J・エイブラムス。劇場映画の初監督作品。
前々作の「1」はチームがバラバラになって解体、
イーサン・ハントが苦悩する展開になっているし、
前作の「2」はイーサンのただただワンマンな
アクションシーンが作品の核となっていた、との批判を踏まえ、
今回の「3」を製作するにあたって、監督が重要視したのが、
テレビシリーズ『スパイ大作戦』の売りの一つでもあった、
チームワーク感を前面に押し出す、
新たにチーム要員を構成して、テレビシリーズの映画化として
ふさわしいものとする、という前置きがあったそうだ。
どこまでもトム・クルーズありきだったこれまでの二作と比べて、
脚本が格段に練り込まれ、ド派手なアクションに頼りきらずに
プロットの面白さで終盤まで引っぱる展開が面白かった。
これがシリーズ史上最も興行成績が低いそうなので、不思議だ。
黒幕がマスグレイブではなくて、ブラッセル局長だと
ラストまでミスリーディングさせる手法、
黒人に対しての一般的な差別意識を上手く利用している脚本に唸る。
ベンジーのキャラクターがお気に入り。
黒焦げのハードディスクから情報を抜き出すなどの
天才的なエンジニアとしての才能を見せながらも、
どこかおっちょこちょいで、
でも憎めない一面を見せるのがたまらない。
ヒッチコック愛を感じるのは、
「マクガフィン」として存在する「ラビットフット」の正体。
これは『北北西に進路を取れ』(1959年)のオマージュだろう。
前作の無茶苦茶なジョン・ウー演出による、
どうやって短時間で変装して、声色を変えているのかの
疑問に対して、今作はしっかりとアンサーを提示している。
まるで『ここにいるよ』feat.青山テルマ に対しての
『そばにいるね』青山テルマ feat.SoulJa 的な。