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20世紀少年<最終章> ぼくらの旗のmanamiのレビュー・感想・評価

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スクールカーストなんて言葉が生まれるはるか前から、子ども達は彼らだけの理屈で作り上げられた階級の中で生きている。もちろん各階級を区切る境目の曖昧さや、階級間を行き来する自由度は、時代や年齢などによって変わるけど。集団生活を送る中で、みんなが平等なんて有り得ない。そんな子ども社会の残酷さ。
そして目の前にいる他の子どもの階級が自分より上か下かを、本能的かつ敏感に察知する。そこから「弱い者いじめ」は生まれるし、「誰かにしたこと/されたこと」の記憶は自分に都合良く改ざんされがちである。そんな子どもの持つ残酷さ。
子どもを取り巻く二種の残酷さが、ケンヂやよしつねや、ともだちを苦しめ続けてきたのかもしれないなぁ。
ケンヂ達の子ども時代である昭和40年代を、私は知らない。それに私は開発ホヤホヤの住宅街で育ったから、草ボーボーの空き地とか昔ながらの駄菓子屋さんとかに個人的な思い出もない。それなのに懐かしさを感じるのが不思議。
強い絆で結ばれた幼馴染み達、その中でリーダー格である自分、そしてギター、バイク。二十世紀に少年だった者たちの憧れがケンヂに集約されてる。極めつけに世界を救っちゃうんだからね、まさにヒーローだよね。
そんなケンヂに主役の座は譲ったものの、オッチョもやっぱりかっこいいし、ショーグン通り越してもう仙人でしょって風貌になってる。
そしてこの最終章と言えば、私にとっては神木くんの印象が強い。登場シーンはかなり少なくて、その中でも顔の映る時間なんてほんのちょっとなのに、ちゃんと可愛らしくて素晴らしい。階段〜踊り場でお面とともにひょっこりしてる姿とか、世界は知らんが私は十分救われるわ。

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