死刑弁護人の作品情報・感想・評価

死刑弁護人2012年製作の映画)

製作国:

上映時間:97分

3.6

「死刑弁護人」に投稿された感想・評価

miyagi

miyagiの感想・評価

4.0
東海テレビドキュメンタリー特集より。
安田好弘は超有名な弁護士だが、世間の風当たりが強く、極悪弁護士だというイメージが強い。
これまたマスコミによる扇動の側面が強いことが今作がひも解いてる。

冒頭から「マスコミがきらい。彼らにはネタの提供をするだけで、真実に迫らない」というのは実にその通りで、東海テレビの懐の深さには感服するしかない。

当時まだ小学生だったので、そこまで覚えてないが、林真須美が起こしたカレー事件に冤罪の可能性があるだなんて全く知らなかった。
林真須美に対するイメージの形成が、彼女が犯人に違いないという結論をもってこさせる。
いやー恐ろしい。

弁護士の仕事も大変だと思わされた。
特に、死刑弁護人は葬儀が行われるまで弁護が続くというセリフに象徴されるように、その内容はハード極まりない。

安田弁護士が死刑廃止論者なので、それを逆手にあれこれ揚げ足をとられるわけだが、なんとも難しい。
死刑廃止論者だと言ってしまうと、弁護士である前にそういう人間だと見られてしまう。
難しい問題だ。

この作品からだいぶ経って、オウム真理教の元信者たちの死刑が執行されたが、安田弁護士の胸中はいかなるものだろうか。
AKIRA

AKIRAの感想・評価

4.1
家族が殺されても死刑廃止訴え続けますか?の質問のシーンが心に残る。。。。
安田弁護士。オームの麻原を始め、世間では極悪人だと決め付けられている被告人の弁護に当たってきた。

穏やかな語り口の中に弁護士として弱者への強い責任感、偏見や思い込みでの判断ではなく事実を積み上げてのジャッジへのこだわり、どんな人間でも更生可能だという信念が現れる。

世間の耳目を集める犯罪が起きるとまずは、マスコミが予断たっぷりに「悪」を仕立て上げ、単純な世間に売り捌く。世間はそれを丸ごと信用して、断罪を要求する。検察は立場上、なにがなんでも素早く犯人を検挙する事にメンツをかける。司法も世論という怪物の前に大岡裁きを図る。

しかし、いずれも真実をじっくりと見極めるのではなく、この社会の一面的な正義に生贄を捧げるように仕事を進める。そしてきちんと真実が解明される事なく犯罪は消費され、次の獲物を探す繰り返し。

それは未だに変わる事のないこの社会の構図でもある。悪は常に我々の「向こう側」にあり、修復されるものではなく、早々に消し去る事にパワーが注がれる。それは本当の犯人でなくても、善と悪の闘いの物語として閉じられるのであれば、成功なのだ。これで安心安全は守られたと。

そして時に拙速な審議の結果としての自分たちの誤りを認めたくないがための口封じの為に死刑実行も早められ、再審の壁も高くなる。

ハリウッドの娯楽映画のような分かりやすい物語は実は日常的に起こり、消費され続けていると言っても過言ではないのかもしれない。

人間ひとりひとりが異なるように犯罪も多様な性格があるだろう。そこに切り込むようなマスコミ、検察官、弁護士、裁判官、市民、そしてわたし自身の考えが少しでも変わることを望まざるを得ない。本作を観てそんな思いに駆られた。
naopopo

naopopoの感想・評価

3.3
004

記録 19T002
メメ

メメの感想・評価

3.6
有名な事件を別の目線で見る事が出来る
オウム真理教事件や光市母子殺害事件、和歌山毒カレー事件などを担当した安田好弘弁護士を追った東海テレビ製作ドキュメンタリー作品。

勉強不足でこの弁護士さんは知らなかったのですが、担当した事件はおっさん世代からしたら憶えてる事件が多い。
幼少期にニュース見てビビった新宿バス爆破事件や名古屋女子大生誘拐事件もこの方が弁護してたんですね。

稀代の悪人を弁護する事によりバッシングされ、オウム真理教事件に至っては別件で安田氏が逮捕されるという妨害も。

報道によって「こいつは悪人だ」と思い込む庶民ってのも怖いもんだなと。
和歌山毒カレー事件は状況証拠ばっからしいです。
冤罪の可能性もあるんでしょうかね。

死刑制度反対を訴えてらっしゃるが、これに関しては正直難しいよねぇ。
先進国では日本くらいらしいが、被害者家族の立場になったら綺麗事ばかり並べるのもなぁ。

まぁ色々考えさせられるドキュメンタリーです。
かくわ

かくわの感想・評価

3.5
和歌山カレー、光市、オウム。
2018年現在30歳の俺でも知ってる大事件を担当した弁護士のドキュメンタリー映画。

「死刑を求刑=悪者 」と思考停止に考え、さらには「なぜそんな人を弁護するのだろう」
と考えてしまいがちだけども、
真実を明らかにしようとすると弁護士、それを阻もうとする権力。
死刑制度そのものを考えさせられる。
※当然罪を犯す人を擁護する気にはされないけど。

2018-077
joujim

joujimの感想・評価

3.0
業の深い死刑判決事件ばかりを扱う弁護士。確かに死刑判決を覆してみたところで、死刑制度そのものはなくならないわけで。「死刑廃止」という自分の主義を通すために事件を利用しているわけではない、というところにはそれなりの説得力があると思う。心の底からの反骨精神がこの人のエネルギーなんだろうな、と思ったり。しかし、胎内回帰ストーリーはやっぱり無理があると思います...
空

空の感想・評価

3.0
非常に丁寧に取材を続けて撮られたものだと思う

ただ「死刑反対」が故に事実を曲げてでも死刑から逃れるよう弁護するのは違うと思った

彼の信念は理解するが司法でする事ではない

和歌山カレー事件の林被告も行き場がなかったのであろうが安田弁護人でなければもしかしたらもう少し有利に働いたのではないか?とすら思う

しかしこれを取材し映画にしている事は立派だと思う

色々考える事ができる
日本の死刑制度に関して、存在するのが当たり前だと思い込み、マスコミの報道するままに感情を爆発させて、「こんなやつさっさと死ねばいい」、「本人も同じ目に合わせてやればいい」と言ったような発言が多すぎる。

そういう方にも是非一度観てもらいたい作品である。

個人的には昔から死刑制度に反対している人間だが、この国にそういった制度があること、そして国民の大多数が死刑制度に賛成していることは認めなければならない。

しかし、何よりの問題は死刑制度に賛成している国民のほとんどが、この制度の矛盾や恐ろしさに気づいておらず、それどころかマスコミに報道されるがままに思考せずにただ犯人憎さから死刑制度を推進しているということだ。

どんなきっかけでもいい。
それこそ、この映画をきっかけとしてもいいから死刑制度というものについて感情論ではなく、もう一度よく考えて欲しい。

国の制度として、人の命を奪っているということは私たち国民一人一人が命を奪っているということだ。

その責任として、せめてしっかり考えるべきではないだろうか。

その上での死刑制度賛成という意見なのであれば、私はそれはそれとしてしっかり認めたい。

この映画では安田好弘弁護士は、例え自分の家族が殺されても死刑には反対すると仰っていた。

こういった質問は、死刑制度反対を訴える中でよく耳にする質問だ。

安田弁護士の回答はそれはそれで、人間としてとてもすごいことだと思うが、私はもし自分の家族が殺されたら、絶対に許さない。

自分の手で殺してやりたいくらいだ。

それでも私は死刑制度には反対である。

しかしそれは人間として当然ではないだろうか。
決してこれは矛盾しているわけではないのだ。

感情論としての問題と国の制度として論じなければならない問題は、あくまで切り離して考えるべきだ。

映画の感想から少し離れてしまったが、それだけ多くの人に観てもらいたいものだということで勘弁して欲しい。

一つのドキュメンタリー映画としても、東海テレビ流石の安定した内容なので、是非ご鑑賞下さい。
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