Nakanishi

ザ・フライのNakanishiのレビュー・感想・評価

ザ・フライ(1986年製作の映画)
4.0
3年ぶり2度目の鑑賞。

クローネンバーグ印のキモい美術は無論すごいんですが、同化する前から顔付きや動作(特に目の動き)がギョロっとしててそこもポイント。ハエ感あっていいんですよね。

中絶のシーンは中々のトラウマだったり、外見だけでなく内面も狂っていく様子などはホラー映画として普通に面白いです。加えて、最初はイヤなやつだった元恋人が終盤ではめっちゃイイやつに見えたり、ラストの銃口を自身に向ける場面など、人間模様を描くドラマとしても面白味があります。序盤はバックトゥザフューチャーの雰囲気もあって、SF的ワクワク感もあります。ただのキモいホラー映画ではなく、いろんな要素が詰め込まれている点がこの映画のいいところでしょう。

今回初めて劇場で鑑賞したのですが、キモさ倍増でした。肉々とした物体がでっかいスクリーンいっぱいに映ると、歯を食いしばりつつ目を見開いてしまいます。
特殊メイクではなく、人間の肉体で魅せる場面も多いので、クローネンバーグの趣味がキラリと光ります。人の肉って生々しいのに妙に綺麗な瞬間があるんですよね。

頻繁に見ようとは思いませんが、数年後にまた見ているはずです。これが長く愛される理由なんでしょう。名作です。
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