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ザ・フライのArxのレビュー・感想・評価

ザ・フライ(1986年製作の映画)
4.0
今までのクローネンバーグ映画の総決算的な内容に感じた。
テレポーテーション装置を発明した科学者は些細なミスでハエの遺伝子と自分の遺伝子を融合させてしまう。
映画の公開当時はエイズとの関連性も指摘されていたようだが、そこから数十年たちテレポーテーション装置もショボく見えてしまうものの、今見て際立つのは肉体が変わっていくことで意識がどのように変わっていくかがきっちり描がかれていくことだった。
また、主人公の男は強い肉体を手に入れたと思い万能感を持つ一方、女性側はそのような肉体の変容を拒否しようとする描写がある。また、ラストでも主人公は彼女に肉体的な融合による解決を提示するが拒否される。
一方、ハエ男に変わっていく主人公を彼女は愛そうとするが、肉体どころか精神的にも昆虫になる(=意思疎通が出来なくなる)ことを知ってついに別れることを決意する。
そう考えると主人公と彼女は恋愛関係にあったものの、肉体と精神に関する2人の考えは最期まで埋らなかったのかもしれない。
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