半兵衛

ランボーの半兵衛のレビュー・感想・評価

ランボー(1982年製作の映画)
4.0
改めて見ると、第一作は『タクシー・ドライバー』や『ローリング・サンダー』に近い系統の作品だったことに気づかされる。ベトナムから帰還しても居場所がないスタローン演じるランボーが訪れた閉鎖的な田舎町でヒッピー扱いされて差別され、挙げ句の果てに昔の古傷をえぐられて暴走する様は痛快さよりも痛々しさが伝わってくる。そこからランボーがたった一人で「戦争」を起こし敵をなぎ倒す様ははもはや怪獣の域。

この映画の興味深いところは、田舎町の人間のような古いアメリカ的価値観を持つキャラの他にベトナム戦争以後出てきた新世代も描いているところ。アメリカの開拓精神を引き継いでいることを自慢しランボーを迫害する旧世代と、自分の生活を優先し自警団の任務にもさほどやる気のない新世代のギャップ、こういう世代問題はアメリカにもあることがわかる。そしてやる気のない新世代はランボーを襲わないので命を落とさず、敵がい心を見せる旧世代がことごとく葬りさられる様はアメリカの変貌をシニカルに描いているよう。

重要なキャラであるはずのトラウトマン大佐があまり人間味を感じないキャラになっているのが残念だけど、それでもラストの彼に対するランボーの咆哮に胸を打たれる。流れで言えば原作通りここで死ぬべきだったのかも知れないけれど、あの「自分はどこへ行っても居場所がない」ことを自覚しているような醒めた顔のラストもまた味わい深い。
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