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ランボーのRのレビュー・感想・評価

ランボー(1982年製作の映画)
4.7
ランボーって原題ランボーじゃなくてFirst Bloodっていうんすね。知らなんだ。見てみると予想してたのとかなり違う雰囲気だった。てっきりスタローンが邪悪な敵たちをバリバリやっつける明るいアクション映画だと思ってた。真逆やん! 冒頭、スタローン演じるベトナム帰還兵ランボーが兵役中親友だった男を訪ねて行くと、ベトナムで浴びまくった化学物質のせいで癌になって死んだよ、と彼の母親に告げられ、言葉を失ってその場を立ち去る。いきなりこのダークさ。その後、近くの田舎町に立ち寄ろうとすると、町の入り口で保安官に止められ、トラブルを起こしそうな怪しい人物を俺の町に入れるわけにはいかねぇ、と町を通り過ぎたところまで車で連れていかれる。確かに見た目は小汚い放浪者やけど、さすがに排他的過ぎるやろ、これだから田舎者は嫌だ、と見ながら思ってると、ランボー、回れ右して町に戻ろうとする。そしたら、そのまま不当に逮捕され、署に連行、そこでひどい目に遭わされたランボーは、みんなをなぎ倒して逃げ出す。保安官たちはランボーを追いかけ、森の奥の谷にまで追い詰め、ついには発泡し始める! ブチ切れたランボーは、彼らを一人ひとりハントしていく。何と、ランボーはベトナム戦争で最強のグリーンベレーで、勲章もゲットしてるウォーヒーローだったのだ。ベトナムのジャングル戦を耐え抜いた男なので、保安官たちなぞ雑魚でしかない。するとそこに州警察や軍まで加わって、どんどん規模が大きくなり、取り返しのつかない大事件に発展してしまう。って流れ。全体的に暗くてじめじめ陰惨なシーンが多く、人々の陰険さもかなりのものやし、ランボーの得体の知れなさも不気味。町民どもめら確かにめちゃくちゃウザいけど、どっか別の町に行ったらええやん、なぜに、ランボー君、ここまでの抵抗心や報復心を燃やすのか。最初はよくわらないんやけど、終盤にある感情爆発シーンで、うわーーーーー!!!って衝撃を受けます。誰しもが心を引き裂かれ、消し去ることのできない痛い記憶として脳裏に焼きつくに違いない。ものすご悲痛なシーン。大好きなジャンルの一つである戦争映画のどの作品においても、今まで一度も見たことのない戦争の真の一面を見事にとらえていて、あっと驚かされた。スタローンのゴリゴリの肉体からほとばしる身を切るような痛み…これは本当にスタローンにしかできない演技だと思った。てか、全体的にスタローン素晴らしい。最初ちょっとドス黒く小汚すぎて、え、見るのつらいかも…って思ったけど、だんだんと彼の狂気に引き込まれていった。序盤、署内で保安官たちの言うことぜんぜん聞かないのに、服を脱げ!って命令されたときだけ何も言わずに従ってるところは思わずわろてもたけども笑 この時代のスタローン、ムキムキやけど、現在のイメージと比べると、断然シュッとしてたんやね。エンディングはほんとやるせない上、Dan Hillの歌うIt’s a long roadという歌が心に染みた。そして、この歌を聴きながら、いや、これは単純に戦争の映画なだけではないな、と感じた。中年以上の男性には、ある意味ランボーと共鳴してしまう人が多いんじゃないかと思う。それがなぜかを語りたいところではあるが、ネタバレになってしまうのでやめておきます。けど、多分、ホントに多いと思う。多くの男性の声なき叫びがラストに集約されてるのではないか、だからこそ、時代を超えて支持される映画になったのではなかろうか。見たとき体調がすこぶる悪く、集中力がいつもより落ちていたので、是非ともいつかまた見直したい。
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