ゴン吉

ベニスに死すのゴン吉のレビュー・感想・評価

ベニスに死す(1971年製作の映画)
4.2
ドイツのノーベル賞作家トーマス・マンの小説を原作としたヒューマンドラマ。
ダーク・ボガードが主演、ビョルン・アンドレセンらが共演。 

ベニスのリド島に療養のためにやってきたドイツの作曲家アッシェンバッハ教授(ダーク・ボガード)は、海辺に建つホテルで美少年タジオ(ビョルン・アンドレセン)を見かけ、彼の美しさに魅惑される。
一旦はドイツへ帰国するためにホテルを後にするが、手違いで荷物が別の所に運ばれてしまう。
やむを得ず、教授は再びホテルに戻ってくる。
しかしベニス一帯では疫病が流行り出し、宿泊客が次々と帰っていくが、タジオの魅力に憑りつかれた教授は、ホテルに留まる。
やがてタジオ一家も母国ポーランドに帰国することになるが……  

全編にわたり、マーラーの交響曲第5番の第4楽章アダージェットが流れ、絵画のように美しいリド島やベニスの映像で構成された芸術的な作品です。
食事中でも被ったままの帽子などファッションもオシャレです。
美少年の虜となった教授が、疫病の流行を知り死の危険を認識しながらもベニスに留まる心境が繊細に描かれている。
美しい景色とは対照的に病に蝕まれていく教授を映像で表現していて素晴らしい。
初夏のシロッコの温風により額から汗が流れる代わりに、白く化粧した額から疫病により赤い血を流す映像が印象に残る。  

2022.6 NHK BSP で鑑賞(字幕:古田由紀子)  
第24回カンヌ国際映画祭にて25周年記念賞を受賞(1971年)  
英国アカデミー賞にて美術賞、撮影賞、衣装賞、音響賞を受賞(1972年)
第45回キネマ旬報ベスト・テン第1位(1972年)
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