柄満堂

ベニスに死すの柄満堂のレビュー・感想・評価

ベニスに死す(1971年製作の映画)
5.0
嵐の近づく劇場にて。

劇場の灯りが落ち、マーラーの交響曲第5番第4楽章のアダージェットが流れだすと、スクリーンに監督名のクレジットが映し出される。

朝焼けの海を行く汽船。もちろん現代的なシャープな絵造りではないが、フィルムの粒子を感じさせる柔らかな映像美。

この一連の流れだけで、観客はヴィスコンティの世界に絡め取られてしまう。

40年ぶりに劇場で見ることができました。やはり良いですね。

しかし、不思議な映画です。全編の半分以上は、初老のおっさんのアップ。それでいて、観客を飽きさせないのだから。

砂が残り少ないのに気付くのは、終わりのころだ。

この映画を観ていると、無性に煙草が吸いたくなります。
せっかく止めたのに。
柄満堂

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