このレビューはネタバレを含みます
リバイバル上映など鑑賞の機会はいくつかあったのに、今回初めて鑑賞。
主人公はドイツ人音楽家アシェンバッハ。中年〜高年にさしかかる年齢か。そして美し過ぎる少年タージオ。
アシェンバッハの視線はタジオを追い、タージオはそんなアシェンバッハの事を時々見つめたりする。でも二人の間に会話はほとんど無いのだ。
ベニスにはコレラが流行り・・・タイトル通り主人公は浜辺の椅子で最期を迎える。
印象に残るのは、死に行くアシェンバッハの目に映るタージオの美しい姿。
そしてアシェンバッハの顔に塗られた白粉、両頬に垂れた白髪染めの染料。
美と醜の対比だと思った。生と死も。
アシェンバッハは一度ベニスを発とうとするが、結果的にそのまま滞在した。
タージオに美しさに憑りつかれただけではなく、息子の死、音楽の挫折など苦悩を抱え、死を怖れつつも死に惹かれている気がした。