けいすけ

ベニスに死すのけいすけのレビュー・感想・評価

ベニスに死す(1971年製作の映画)
3.4
マーラーの流麗な音楽に乗せられたベニスの運河や町並みが非常に美しい。衣装や小道具、部屋の内側全てにおいて貴族的美意識の高いつくりで、貴族出身のヴィスコンティならではといった印象。ただ、これがややストーリーにも影響しており、市民や下町の描かれ方が卑賎極まりなく、悪い意味での貴族的で冷淡な視線が注がれているように思えた。上流階級ならではの見下すとまではいかないものの、下級の生活を知らない上の誇張的な表現が鼻につく。

カメラワークにおいても、あざと過ぎるズームの多用が非常に見苦しい。

これは皆さん言及しているが、少年タジオが美し過ぎる。美しいヴィジュアルをこれでもかとアップで見せて、綺麗な鼻筋を活かしたやや斜めの角度から、切れ長の目をあえて流し目で捉えて、タジオのヴィジュアルを最大限に美しく表現している。しかも、主人公の作曲家との微妙な距離感から沸き起こるもどかしさが堪らない。少年でありながら、人間ではない何かのような不思議な存在感を演出している。