醜い側の人間だからこそ、美に憧れる。美しい顔立ち、美しい体、究極の美、それに憧れる…でも決して手は届かない…
ダーク・ボガード演じるグスタフは作曲家、美を追い求める芸術家であるからこそ、ベニスで出会った少年タージオの圧倒的な美しさに打ちのめされる。このタージオを演じる少年は確かに信じられないぐらい美少年、ベニスの映像の美しさと相まって、この映像自体が究極の美に思える。
それに比べてグスタフは年老いた老人、なんとか綺麗になろうとして化粧をするけど、それも汗でドロドロになり、醜い姿のまま死んでいく。美に殺されたような死に方だ。
究極の美ってのは生まれつき持つものにしか与えられないもので、私もそうだけど、醜い側の人間はそれに憧れ、それを得ようとしてあがき、結局敗北して死んでいくんだろうなぁ…
ダーク・ボガード演じるグスタフは一見するとただの変態だけど、芸術家だからこそその圧倒的な美に溺れてしまったんだろうなぁ。美に近づきたい気持ちはわかる気がするよ。