テレザ

ベニスに死すのテレザのレビュー・感想・評価

ベニスに死す(1971年製作の映画)
3.7
当然、主人公の男はあの美少年−−−タージオと何らかの接点を結び、コミュニケーションをとるのだろうと思っていた。中盤終わりくらいまでそう思っていた。しかし、どうやらこの男は最後まで彼に口をきかず、眺めているだけらしい、と途中で悟った。一言もやり取りをせず、ただ彼の見た目の美しさに代えて彼全体に恋い焦がれていられるのは、ある意味で特権的な立場だし、「他人と接することを極度に恐れる」彼にとってはそれで良かったのだ……。
陽の光を受けて輝く海の向こうへ儚げに立ち尽くす少年と、同じ風景を見ているという幻想を抱きながら、教授は朽ちる……。
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