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ベニスに死すのYUTAのレビュー・感想・評価

ベニスに死す(1971年製作の映画)
3.8
絶世の美少年・ビョルン・アンドレセンを老作曲家のおじさん目線でじっくりと堪能できるショタコンの方にはたまらない映画、それが『ベニスに死す』!

ごめんなさい笑。
あまりにも要約が乱暴すぎでした笑。


トーマス・マンの原作小説は未読なので、小説と映画を比較することはできないのですが、ストーリーとしては、「主人公の老作曲家・アッシェンバッハが、静養のために訪れたベニスで、タージオという名の美少年に自分がずっと追い求めきた "美" を見い出して心を奪われてしまう。しかし、ベニスの街に疫病が蔓延して、アッシェンバッハは病に侵されてしまう。それでもタージオを追い求めるが、ついには彼は命を落としてしまう」というもの。


人それぞれ感性は違いますよね。何に美を見いだすかも十人十色、千差万別。自然が織りなす絶景、宇宙の神秘、大都市の景色、絵画、彫刻、映画、音楽etc.
本作の主人公・アッシェンバッハはそんな数ある美しいものの中で、美少年に究極の美を見い出します。おそらく誰もが本作を観て「タージオ美しい!」と思うはずです、私も思いました。ただ、本作の主人公は、私のような凡人の未熟な感性では到底及ばないもっと高い次元で芸術というものを捉えていて、そして自分の感性に見合った"美なるもの" は、絵画でも彫刻でも音楽でもなく、一人の少年だった。芸術家である彼は、いわばタージオを "究極の芸術作品" として見い出したんだと思います。そして、顔に白粉や口紅を塗って若作りして気を引こうとしていたことからもわかるように、彼はタージオに恋をしていた。単に美しいだけで終わらず、そこには好きという感情があった。つまり本作では「同性愛」も一つの重要なテーマとして描かれているんだと思います。しかし不幸にも疫病に侵されてしまい、ついに見つけた「美」を目の前にして、命尽きてしまう。何という悲劇的結末!

そして本作を観た私自身も『ベニスに死す』に美を見い出さずにはいられなかったわけです。映画全体から醸し出される教養と哲学的芳醇さに、感性が揺さぶられずにはいられなかったわけです。

そこで、本レビューの冒頭でずいぶんめちゃくちゃなことを書いてしまいましたので、訂正します。

"真の美とは何かを深く考えさせてくれるルキノ・ヴィスコンティ監督の傑作芸術映画、それが『ベニスに死す』"

これでどうでしょうか笑?
前よりは多少良くなったんじゃないかな笑?
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