炭鉱夫の子供は炭鉱夫になるのが幸せ。貧しい炭鉱の町コール・ウッド。
親は息子に地に足がついた職業を選択して欲しいと願うが、息子は打ち上げられたソ連の人工衛星を見て、自分もロケットを飛ばしたいと夢見る。
実際はそういう夢を実現出来るのは一握りの恵まれた人しかいないと思うのだけど、何も持たない彼には神様が味方してくれたのかも...
彼には一緒に夢を見てくれる3人のクラスメイトがいた。理解してくれる大人がいた。そして飛躍するための科学コンテストなるイベントがあった。
彼らは夢中にロケットを作り続ける。しかし、必ずしも順風であった訳ではない。家庭の事情や自らの失敗から一度は諦めかけた夢。でも、再び立ち上がった時、もはや迷いはなくなっていた。
父親は悩んでいた。小さな炭鉱を守ることが、町を守ること、そして将来の息子の幸せを守ることだと信じた。自分の父親も、自分もそれが正しいと信じていた。息子は子供で世間知らずだ。守ってやらねばと思っていた。
しかし、息子は父親が想像するよりも大きく育っていた。
それに気づいた時、ようやくお互いをリスペクト出来る関係が出来るのだ。
とても、素敵な話で終盤は涙が流れた。
あの時人工衛星を見ていなければ...仲間が一緒に夢を追いかけてくれなければ...理解してくれる大人がいなければ...コンテストがなければ...そしてなにより彼がこの父親の息子でなかったら...何一つ欠けていても奇跡は起こらなかっただろう。そしてこれは彼だけでなく、アメリカの奇跡でもあったのだろう。
これだから人生は面白い。
元NASAのエンジニア、ホーマー・H・ヒッカムJr.の自伝的小説「ロケット・ボーイズ」の映画化作品。
父親ジョン・ヒッカムをクリス・クーパー、息子ホーマー・ヒッカムを若きジェイク・ギレンホールが熱演。父と子の普遍的なテーマを扱った良作。他の作品では変人役が多いジェイクの真っ直ぐな演技が素晴らしかった。