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炎628のsyuheiのレビュー・感想・評価

炎628(1985年製作の映画)
4.0
1985年のエレム・クリモフ監督作品。こないだ『戦争は女の顔をしていない』を読んで興味を持ったので。

1943年、ドイツ占領下のベラルーシの寒村。少年フリョーラがパルチザンの隠した銃を遊びで掘り出す。その様子をドイツの偵察機が目撃し、パルチザン掃討のためナチスが攻め込んでくる。家族はおろか村全体が虐殺され、略奪され、陵辱される様子をフリョーラは目の当たりにすることになるのだった。

前半の少女グラーシャとの出会い→森での牧歌的シークエンスから一転、中盤以降のナチス暴虐のギャップが怖い。哀れフリョーラ少年はあまりにも過酷な現実を目の当たりにして憔悴しきり老人のような風貌になってしまう。ラスト、パルチザンの襲撃を受けて捕虜となったナチ将校の言い草に絶句する。

原作はアレシ・アダモヴィチによる『ハティニ物語』。邦題は大戦中に焼かれたベラルーシの村の数から。原題英語訳はCome and Seeで、戦争の勝者や大いなる神の怒り、裁きの日に言及したヨハネ黙示録第6章に由来する。本作はモスクワ国際映画祭で最優秀賞に輝いたが、今ではなんという皮肉だろうか。

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