つるみん

炎628のつるみんのレビュー・感想・評価

炎628(1985年製作の映画)
4.3
3400本レビューの作品はこちら。

初めて観た時、衝撃すぎてレビューが書けなかった事を思い出す。Blu-rayを持っているにも関わらず、1度も見返さなかった作品を遂に開封。

やはり観返すには勇気が必要だった…。


題名の628という数字。
これはナチス・ドイツ軍によって焼き払われたベラルーシの村の数である。

先に言っておくと、この映画を観た時点で過去の所謂〝戦争映画〟と属されるものは少なくとも観客に見せる事実とエンタメで作られていたのだなと気づく。橋口亮輔監督もコメントを残しているが、戦争はいけないとか、憎しみを乗り越えてとか、憎しみの連鎖は何も生み出さないとか、そんな甘ったるい綺麗事なんて通用しないんだよと。この映画が教えてくれる。

143分。ただただ圧倒され、観ている我々は何も出来ない。この作品を賞賛するよ批判するも自由だが、間違いなく言えるのは誰もが衝撃を受けるだろう。

クロースアップ、トラッキング、POV。あらゆる手法で我々を戦場に連れ込み、体験させる恐怖。
ストーリーが進むにつれ、主人公の顔が明らかに疲弊していき、もはやその顔面は少年とかではなくなっていくのを目の当たりにし、また更に我々を震え上がらせる。

ユダヤ人大量虐殺の事実は皆知っているであろうが、ベラルーシでもこのようなホロコーストが行われていたという事実…知らなかった。

少年を主人公とした戦争映画の先駆的傑作であるタルコフスキーの『僕の村は戦場だった』があるが、これまた別物と言っていいほど違う味わいがあった。


覚悟の上でご覧下さい。
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