浮浪者

炎628の浮浪者のレビュー・感想・評価

炎628(1985年製作の映画)
3.7
まだ私は途方もなくなれる。

例外状態、野蛮さの現れ、悪の陳腐さなどなど枚挙に暇がないほどに「かの対戦」は様々な種子をばらまいていった。

かの対戦が生まれなければ、この表現もまた生まれなかっただろう。(靄、灰、雨、さまざまな自然現象がつくりだす人工的暗転の愉悦)

この表現への愉悦は、戦への両犠牲を呼び起こす。あの過ちはもう二度と、という凡人感覚と、むしろ、あの過ちをもう一度という超人的な感覚。

表現(歴史)に魅せられる過ぎることもまた危険であろう。

その魅力の背後に渦巻くクソつまらない形式をした再来を見過ごすこともあり得るのだから。
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