sobayu

善き人のsobayuのレビュー・感想・評価

善き人(2008年製作の映画)
4.5
このタイトルとジャンルが恋愛映画って最高に皮肉が効いてる。原題は相槌で使うgoodだとレビューサイトに載っていて、確かに主人公の生き方を端的に表してると納得した。

安楽死をテーマにした小説でナチに登用されるようになる主人公に要介護の母親が居ること、ユダヤ人の友人を持ちながらSSになること、それでもジョンは確かに優しい善き人であることは間違いない。同じ立場だったら私はもっと嫌な奴になるに決まってる。アンと同じこともするだろう。だからこそずっと居心地が悪い。

主人公に内心を語らせず、心情吐露は音楽の幻覚に託されてるのも素晴らしいと思った。内心は言われなくても分かるもの、ジョンは嫌ってくらい普通の人だから。あの幻覚、最初は何のことだか分からないけど段々ジョンがどういう気持ちの時に現れるのか想像できるようになってきて、で、ラストのあれになる。もうたまらなかった。

あの時代において物凄く恵まれた特権階級の男の話で、結局いい気なもんだよな的な反感を買いかねないけど、本当に痛いところを突かれた。介護をする立場でもされる立場でも安楽死させてくれたらいいのにって思ったことある人にとって、ヒトラーの政策は甘言なんだ。

敢えてグレーでカタルシスも好意的な共感も感じさせない映画。すごい。