おだんごぱん

善き人のおだんごぱんのレビュー・感想・評価

善き人(2008年製作の映画)
3.5
1930年代、ドイツの大学で文学を教える教授が、ナチズムに巻き込まれていく様を描いた映画。

様々な角度からこの時代を描いた作品がある中、なかなか新鮮な切り口だった。

ナチズムに反感を持ってはいるものの、それ程強く意思表示はせず、どこか他人事のように受け入れながら、戦争とはかけ離れた、ごく普通の日常生活を送っていた人が、思わぬ形でナチスと関わるようになり人生の歯車が狂いだす…。

優しい人柄ながら、気弱で優柔不断な主人公が流されて行き着いた先で、ものすごく大変な事態を目の当たりにするラスト。主人公の心理的な描写が、控えめながらもリアルだった。

文学者によるフィクションのお話を元に論文を書かせて、あたかも根拠のある論理として利用するとは、信じられない狂気っぷり。改めて集団主義や独裁政治の恐ろしさを感じた次第。