天狗

月はどっちに出ているの天狗のレビュー・感想・評価

月はどっちに出ている(1993年製作の映画)
3.6
UNEXTにて

始まったとたんに1993年ごろの雰囲気ってわかった。出演者の服装や髪型って意外に情報量が多いことに気が付きます。

これ当時結構話題になってた(特にルビー・モレノが)こと記憶してますが、観る機会がなく、やっと観れました。

観た後、最近観た安田顕さんの「愛しのアイリーン」 を思い出しました。アイリーンとの大きな違いは「生きる力・逞しさ」が本作では大きいということです。特に在日朝鮮人のタクシー運転手を主演した岸谷五朗さんの演技が良かったです。祖国統一とか息巻くのではなく、この日本に根をはりしっかりと飄々と生きていく主人公は「生きる力」を体現していました。もちろん変な大阪弁をあやつるルビー・モレノさんも面白かった。

いま主演級の俳優さんの若い頃を見ることも出来ます。一瞬、鈴木清順さんもみえました。

在日をひとくくりにして悲観的に描くのではなく、一人の人間・男を描いたところが本作の魅力だと思いました。

もっと早く観ていたら良かったと思えた作品です。

とはいえ、冗長な結婚式のシーンなど、もっと編集の仕方はあったのではないか。
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