ダイセロス森本

リトル・ミス・サンシャインのダイセロス森本のレビュー・感想・評価

5.0
大好物です…ああ好き…。
誰かが成長したわけでもなければ、何かが解決したわけでもない。むしろ問題は見つかり、これから個々に越えなければならない壁がある。でも、それでも、生きることに意味はあって、生きることへの答えはたくさん見つけられたラスト。

キャラクター設定が素晴らしい。

自殺を図った叔父
勝ち馬になるには段階がある、と負け犬をバカにするような発言をするプライドだけ高い父
尊敬する人を見て、自分の夢を追うために9か月も無言を通す息子
リトル・ミス・サンシャインコンテストで優勝したい純粋な娘
汚い言葉しか使わず老人ホームですら追い出す扱いにくい祖父
こんな家族を背負う母

誰もがお互いを完璧な人間とは思っていない。自分の非に気付いているかというと、そうでもない。
家族の話なのに、キャラクター全員がしっかり描かれ、それぞれに感情移入できたので素晴らしかった。問題起きすぎだけどね。

両手首に包帯を巻く叔父がやってくることによって変わっていく家族がとてもかわいい。最初は扱いにくそうに接する彼らが、叔父の気さくさ、優しさをわかっていくことで親しくなっていく。息子は一番仲良くなっていたかな。
抱えるものが似ている長男と叔父は一番素敵なペアだった。
ひとことも発さないからこそ、叔父は気兼ねなく話しかけられたのかもしれない。聞いてくれる人が必要な叔父は彼に救われ、自分をわかってほしい、変な目で見ない人が必要な長男は叔父に救われた。

うーん、深い。
グランパと孫娘の絵はいつでも泣けちゃいますね。
「負け犬の本当の意味」。さらっと明言を残し退場するおじいちゃんに涙。コメディだから「ばあ!」ってなると思ってたんだけど、そういうのはシリアスでした。笑