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リトル・ミス・サンシャインのsomaddesignのレビュー・感想・評価

5.0
オールタイムベストの1つ
好きじゃないシーンが1秒もない

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せっかく映画館が再開したのに、旧作ばかり見に行っちゃう。
小粒とはいえそそられる新作もバンボコ公開が始まって、仕事の隙間じゃ見切れない。まさにうれしい悲鳴🤣


今作の何が素晴らしいか説明するのが難しい。
世界のピンチを救わないし、何の問題解決もしない。
登場人物達は成長しないし、なんならずっと悪い目ばかり逢う。
だけどこのデコボコ家族の一泊二日の小さな冒険は、彼らの世界を確実に変えて、見終える頃には家族全員が愛おしい。
最初は嫌味ったらしくて独善的に思えたパパでさえ、最後には最高にカッコ良い家族思いのパパに見える。嫌いようがない。

クライマックスのダンスシーンでいつも涙が出ちゃう。
自分でも何の涙か分からなくて「なんの種類の涙よ、コレ?」と動揺しながらも、湧き出る涙を止められなくなる。
感動!とかじゃなく、ジジイの最後っ屁としてサイコーだし、各々が誰かが決めてモノサシから解放されて、好き勝手に自分が自分であることを肯定して、家族がそれを讃えあって見えた。
思い通りにならず、不完全で苦悩に満ちた人生にも賛歌を送るようで、よく分からないまま見終わるといつも元気をもらう。


映画の出来と同じくらい本作の制作秘話が好き。
本作の脚本マイケル・アーントとジブリ作品との奇妙な関わりで、スタジオポノックの公式ブログで読めるのでゼヒ↓
https://lineblog.me/studioponoc/archives/110473.html

要約すると…
脚本家として全く鳴かず飛ばずだったマイケル・アーント。どこに持ち込んでも興味を持ってもらえず、大手も独立系配給会社も全部ダメ。もう自分には才能がない、脚本家は諦めようと傷心旅行のつもりで西海岸から東海岸まで旅に出た。
ニューヨークに着くとMOMA(近代美術館)で開催されていた「ジブリ回顧展」にたまたま立ち寄る。そこで様々なジブリ作品に触れ、最後に「ホーホケキョ となりの山田くん」を観て、大変な感銘を受けた彼は西海岸に戻り、小さな家族のささやかな日常の物語の脚本を書き上げる。こうして出来たのが「リトル・ミス・サンシャイン」。
出来上がった映画は評判が評判を呼び、低予算・小規模公開にも関わらず口コミで広がり大ヒット。アカデミー脚本賞を受賞し、マイケル・アーントは「ハンガーゲーム2」「トイストーリー3」「スターウォーズ ep7 フォースの覚醒」とヒット作を連発する脚本家の一員となる。
後年、「トイストーリー3」のプロモーションで来日した彼は、念願かなってジブリを訪問。「かぐや姫」製作中の高畑勲監督に会って「今の僕があるのはあなたのおかげです」と涙を流しながら謝意を伝えたそう。
(好きな裏話すぎて何処かに書いて残してみたかった)


36本目
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