ねぎおSTOPWAR

群衆のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

群衆(1941年製作の映画)
4.0
フランク・キャプラ監督⑥
脚本はロバート・リスキン(キャプラだと「オペラハット」「或る夜の出来事」など)

失業問題が社会に影を落とす中、ふいに巻き込まれる男ウィラビー:ジョンドー(ゲイリー・クーパー)。あれよあれよと一大ムーブメントとなるが、裏ではスポンサーが大統領を目指し、その政治活動に利用しようとしていました。さあどうなるジョンドー!

・・ジョンドー(John Doe)って、前に女性の死体の話「ジェーン・ドウ」ってありましたよね、あれの男性版です。要は身元不明の死体のことで、割と一般的な名前をつけたんですね。ただ死体のことだけじゃなく、名無しの権兵衛的なものです。

このゲイリー・クーパー演じる男は元マイナーリーグの投手で、ひじを痛めて手術も出来ず浮浪生活をしている設定。彼が金欲しさに飛びついたのが、実態のない社会に不満を持つ男を演じる仕事。
その架空の人物を作り出したのは失職寸前の女性記者アン(バーバラ・スタンウィック)なんですね。そして二人はバディとなり全国を講演で行脚することになるんです。
ここでメッセージになっているのが、アンの亡き父の言葉や考え方がベースになっていて、これが古き良きアメリカなわけです。まさに全米が熱狂しますが政治家は自分の利益に誘導しようとすると。

つまりそういう意味ではこの前作「スミス都へ行く」と近い政治批判ものになっています。

映画のデキとしては「スミス・・」の方が完成度が高いと思います。
今作は主人公二人に観客が共感する部分が前半にちょっと少ないというか薄い!のめりこむのは後半までおあずけになってしまう点が「スミス・・」にはかなわないかなと思います。

それにしてもゲイリー・クーパー、本を読む前にバーバラ・スタンウィックとの共演というだけで出演OKしたらしいですね。このバーバラさんよく知りませんが、とにかく出演本数が多い!超人気女優だったんですね!