おむう

横道世之介のおむうのレビュー・感想・評価

横道世之介(2013年製作の映画)
4.1
横道世之介は生きていた。
確かに僕らのなかで生きていた。

沖田監督の好きな”もにょっとした空気”がぴたりとハマる作品でした。
160分もの映画故に良くも悪くものんびり。
こののんびり感が作品の生暖かいゆるさを表していて好きなのですが。
特に加藤がホモセクシャルをカミングアウトする一幕が好き。

『子供はわかってあげない』や『キツツキと雨』ではカメラの長回しや会話の間(ま)が印象的でしたが、『横道世之介』では時系列が飛んだりしつつも場面の切り替わりが多い印象でした。
場面場面を振り返る思い出として見たら相応しいのかも。

画面から感じる温度も主人公の持つ空気感も真逆ですが、故人の生きた証を追う・振り返るという意味で『佐々木、イン、マイマイン』も思い出しました。

どこか人を惹きつける魅力がある人、そしていつの間にか関わりが消えていく人、自分にも思い当たります。

こんな奴がいてこんなことがあったなぁ、今奴は何をしているんだろう。

映画自体も素晴らしいですが、自分の人生を振り返る機会をくれ、その尊さに気づかせてくれる作品です。
同時にダメージを負った自分もいますが、それも良い思い出。
アジカンの『今を生きて』が沁みます。
おむう

おむう