むぅ

秘密と嘘のむぅのレビュー・感想・評価

秘密と嘘(1996年製作の映画)
3.6
アドリブが利くタイプでありたい。

接客業なので、脚本のない日々を"演じて"いる。
そのお客様の物語をチラッと通る脇役、エキストラ。
お客様の数だけ、またその時のお客様の気分の数だけ、求められる"役"がある。
期待に沿うのではなく、それを超えていきたい。
だからアドリブは大事だ。
私のパフォーマンス次第で、お客様の数時間はカラフルにもモノクロにもなる。

脚本は一切使用せず、現場で役者のアドリブで創りあげたという今作。エチュード(即興劇)から成る物語だと観終わってから知った。
ちょっとだけ悔しい。
それを知っている状態で観たかった。

かつて養子に出した娘。
その娘からの連絡で、2つの家族の中に横たわっていた"秘密と嘘"が動き出す様を描く。

秘密と嘘を通らずに生きていく事ってあるのだろうか。
秘密を持つ、持たれる。
嘘をつく、つかれる。
どれも経験がある。
傷付いたことも、傷付けたこともあるけれど、自分やその人の人生を根幹から揺るがすような秘密と嘘には出会っていない私は幸せなのかもしれない。

それぞれの秘密と嘘が、形を現したり変えていく。
その秘密と嘘を"する"側より、"される"側の表情に引き込まれたのは、脚本のないアドリブからくるリアルだったのかなと思った。

「こ、壊れたレコード!」
酔うと延々と同じ話を繰り返すお客様へのアドリブ問題。
・毎回新鮮な感じで聞いてみる
・もしかしてこうなったりして?と知ってるオチを知らないふりで言ってみる
・とびっきりの笑顔で今日それ3回目ですぅ面白いからいいんですけどと言ってみる
・あの話して下さいよーと先回りしてみる

その4パターンの使い回しなので、まだまだアドリブは利かない。
むぅ

むぅ