シカゴで一流レストランの支配人ジョージ(ローレンス・オリヴィエ)は、中年の渋い紳士。ある日、田舎から出てきた若いキャリー(ジェニファー・ジョーンズ)と恋に落ちるが、ジョージには妻子がいた。二人はNYに駆け落ちするが…というストーリー。
原題は「キャリー」なので、キャリーが主人公のように感じるが、運命の女性キャリーに出逢ってしまったジョージの話。
『ローマの休日』でグレゴリー・ペックの友人カメラマンだったエディ・アルバートがニコニコ明るいキャラでこの作品でもイイ味出してる。
よく知りもしない田舎娘のキャリーにお金💰をあげたり、高級レストランに連れて行ったり…一夜の関係でなく、同棲までして。キャリーの方には愛情がなかったみたいだけど、その好意に甘えて、仕事もしてない様子だし、イヤなら出ていけばいいのに。
結婚をなかなかしてくれないのがキャリーは不満だったようだけど、妻子がいるのかと思ったら、ただまだ自由でいたかっただけみたいだし、別れだって逃げるように出て行くなんて…。一言お礼くらいあっても良かったんじゃない?
それでも恨まなかったのは、彼なりにキャリーを愛していたからだし、ラスト楽屋に顔を出した時もニコニコ😊ホントいいヤツ!と思った。
ジョージ役のオリヴィエは、いつもはシェークスピア俳優らしい演劇くさい演技が苦手だったのだけど、今作では凄く自然な演技で、ステキな紳士。
町の食堂なのに、振る舞いがディレクトールで仕事できない扱い。
貧乏暮らしなのに、ツギハギのズボンなんて履けるか!てプライドの高さが痛い。
だからラストも止むを得ずキャリーに会いに行ったけど姿を消した。うう、切ない…😢
あのヨレヨレ演技、誰か分からないほどで凄かった。
ただ、ジェニファー・ジョーンズがもともと苦手な私。田舎から出できたばかりのウブな娘には見えない。(この時32歳)
地味顔で、妻子ある紳士が全部捨てるほど愛する相手としてどうかな…。物分かりいい愛人くらいがちょうど良さそう。
エディのとこでも書いたように、キャリーのキャラもいまいち好きになれなくて。
でも、彼女は浮浪者になったジョージを見ても、引いたり見捨てたりせずに、あなたとの愛を取り戻したいと言ったのには感動🥺
ジョージのラストの台詞が泣かせる。
こんなに転落しても、愛する人を見つけたことは素晴らしいことだと思えるんだ。
ジョージにとってはそれがキャリー。
でも、キャリーにとっては、それはもう自分ではないと…
小銭を1枚だけもらって、鏡に映る自分の惨めな姿をまじまじと見て、ガス栓を開けたり閉めたりする仕草はあまりにも切ない…