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三文オペラの一人旅のレビュー・感想・評価

三文オペラ(1930年製作の映画)
4.0
ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト監督作。

20世紀のドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトが英国の劇作家ジョン・ゲイの戯曲「乞食オペラ」を基に作り上げた戯曲「三文オペラ」を、ドイツの映画作家ゲオルク・ヴィルヘルム・パプストが映画化したもので、20世紀初頭のロンドンを舞台に乞食・強盗・警察の三つ巴の騒動が描かれます。

これまでに何度も映像化されているブレヒトの代表戯曲の映画化で、ロンドンの貧困街の親分:七首メッキーと乞食たちの元締め:ピーチャム、メッキーと癒着したロンドン警視庁のブラウン署長、そして悪人メッキーと結婚したピーチャムの一人娘:ポーリーらが織りなす狂騒の顛末をミュージカルシークエンスを織り交ぜ描いていきます。

社会の底辺で身を寄せ合って生きるその他大勢の大衆と彼らを搾取する少数の資本家&権力者の行状との対比の中に、現代資本主義の歪みを皮肉った社会風刺喜劇の名篇で、主題曲となった「モリタート」のメロディアスな音色が耳に心地よい戦前オペレッタです。
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