シネフィルmonk

三文オペラのシネフィルmonkのレビュー・感想・評価

三文オペラ(1930年製作の映画)
4.2
ブレヒト戯曲の舞台劇を名匠パプストが映画化した戦前のドイツ映画の底力を感じる古典的名作。クルト・ヴァイルの作曲によって三幕八場の音楽劇で構成される。演劇にはまったく詳しくないが、渋谷ツタヤでたまたま見つけたDVDをレンタルし、3回通しで観たほど面白い。アメリカの明朗快活なミュージカルとは対局にあり、全体に暗いムードながらもゴツゴツした演出が舞台効果を生んでいるのが印象的なセリフ入りオペラでした。

原作がイギリスの劇作家ジョン・ゲイの手になった舞台劇であることから、舞台となるのはロンドンの貧しいソーホー地区。「匕首メッキー」と恐れながらも子分や娼婦らに慕われる泥棒の親分メッキーがロンドン中の乞食達を牛耳る元締めピーチャムの娘ポリーと結婚したことから敵対関係に発展し、女王の戴冠式のパレードの最中にロンドン中の乞食を集めてデモ行進を行う大騒動に…。手巻きオルガンで歌われる劇中歌「メッキー・メッサーのモリタート」など耳に残る名曲もあり、古い映像ながら良質の舞台劇を味わえる素晴らしい作品でした。
シネフィルmonk

シネフィルmonk