シロー

ヴァージン・スーサイズのシローのレビュー・感想・評価

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)
4.7
リズボン家の五女、十三歳のセシリアが自殺未遂したところから全ては始まる。なぜ五人の姉妹はみな自殺してしまったのか、彼女たちの憂鬱はもう誰にもわからない。病原菌に侵されたニレの木。輝きを失ったクイーンの冠。ティーンにしかわからないその深い感覚。

「理由」として提示されるものはいくつかあるんだけど、どれが答えなのかはわからない。事に至るまでの種と結実までにはいくつもの蓄積された層から成っていて、これという事件があるわけでもなくて。そんな多感な時期に出会い、遺された少年たちは悩まされる。もしそうでなかったら存在していたかもしれない五人との未来の風景。ブロンドの髪に透き通るような肌、見つめればはにかむ少女性からうっすらと溢れる薄暗い希死念慮。追いかければ追いかけるほどドツボにはまっていくような感じがある。正直トリップくんが手を出さなければまた違う運命だったかもなぁ。その呵責で後々もカウンセリング受けているということかな。

ラックスが姉たちの死を見据えながらどんな気持ちで待っていたのか。なんであんな表情ができるんだろう? 少年たちからしたら、あの光景は全く想像もしなかった。彼女たちはなぜあの合図を送ったのか。抱えきれない疑問符にまだ答えを出せないまま。少年たちの気持ちとリンクするのが良かった。

全体的に海外文学の語り方してて好きだった。雰囲気もいい。
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