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ヴァージン・スーサイズのRのレビュー・感想・評価

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)
4.0
あまり期待せず見たんやけど、意外と楽しめた。特に前半。まず、全編音楽が素晴らしい。1970年代の古くさいけど透明感あふれるスウィートでセンチメンタルな楽曲が、少年たちの目を通して描かれる、5人姉妹の自殺とそれにつながるエピソードの断片断片をオシャレに盛り上げる。↑ネタバレじゃないよ、最初から少年のナレーションで自殺が語られるから。ちょっとヒステリカルなくらい潔癖で束縛的な躾のもと育てられたリスボン家の5姉妹のうち、一番年下の女の子が、初めてのホームパーティーの夜、二階の窓から飛び降りて自殺する。衝撃を受けた一家は少々ルールを緩めて、プロムナイトに男の子と出かけることを許可する。が、性的な関心むんむんの年頃の彼女らが、性欲ピーク期のボーイズと一緒になって、マリファナやらお酒やらやって、何もないなんてあり得るわけがあるまいに。そして、それが引き金となり、ヴァージンスーサイズへとながれこんでいく。というすべてを、ボーイズたちの視点から描いてて、だからすべてがキラキラしてて、スーサイズに至った原因とかむずかしい考察とかもなく、はかなく逝ってしまった美女?5姉妹の、ちょっとエッチで美しい、謎の悲劇の記憶って感じの演出になっている。演出は全然違うけど、大好きな映画、ピクニックatハンギングロックを思い出した。とりあえず5姉妹のうち、3人は美女。自殺娘No.1はロリかわいく、上から2番目が一番かわいい。メインのキルスティンダンストは流石の圧倒的な存在感。男子とすれ違いざまに、軽くベルトを外し、振り向いてニコッのアクションが素晴らしい。オレもやろ。タバコの煙をふわっと吐き出すショットもよかったね。で、一番上の姉ちゃんは顔がむわんとしてておもしろく、もう一人は全く記憶に残らない地味さ。という感じの5姉妹です。あと、イケメンということらしいダンストの相手役の男子、イケてなさすぎてひっくり返りました。何なんあの顔とヘアスタイル笑 ないわー。姉妹のオカン役はハスキーヴォイスが印象的なかなりの迫力のおばさんですごい存在感やった。まぁでもやっぱ見てて自殺について感じますのは、実際やってしまう人の気持ちって、どう考察してみたところで分かりようがないよなーということであります。いろいろ原因であり得そうなことを結びつけて、ああだこうだ、と推測することはできても、心の深くに巣食ってしまった闇や絶望は、それを感じてる主観の持ち主にしか分からない。どんなに恵まれた状況にあっても、悲惨な状況にあっても、それをどう受け止めるかは、受け取る側の主観がどう作用するかにかかっている。つまり、環境がどうであれ、幸も不幸も、それを決定するのは個人個人の主観ってこと。しかして、この主観というものの正体が分からないから、みんな悩むのであります。手入れのしようもないのであります。ここを突き詰めて考えることこそが、人間が取り組まなければならない最大の課題なのではないかと思います。我々は、どこから来て、どこへ行くのか。それを放ったらかしにして、ただ縛りつけたり、間に合わせの手当をしようとしても、そりゃ無理ですわ。と、美女たちの自殺を眺めてゴロゴロしながら考えたわ。
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