Kota

ヴァージン・スーサイズのKotaのレビュー・感想・評価

ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)
3.8
“夢を見る事が何より幸せだった。”

この映画のメッセージを、彼女達が命を絶った意味を一生懸命探したけど、見つからなかった。私たちは語り手の少年と同じように答えを見つけることができない。そして、忘れたくても忘れる事ができない。そんな素晴らしく残酷で美しい。

“ヴァージンスーサイズ”というタイトルは何かのメタファーだと勝手に思っていたけど(少女としての自分を殺し大人になっていく的な)まさかのそのまんまの意味でソフィアコッポラ監督の思惑にまんまとやられた。彼女の映画は難解というよりは、現実世界と同じように私たちが理解できない沢山のことをあまりにもリアルに切り取っている。

キルスティンダンストの不思議な魅力が最大限に活かされている映画であり、他の綺麗な姉妹達が背景になってしまう程。“エレファント”のように日常から非日常への移り変わりが自然すぎて、目の前で起こった事をすぐに整理できず、観客も語り手の一人となりエンドロールでは何も考える事ができない。

以下盛大なネタバレ考察にご注意。

ダンスパーティーに行く前の4人の集合写真でレックスが雨漏りに気づいたまま写真に写る事に違和感があり、この写真にはなにか伏線があると思いながら鑑賞。そしてラストでレックスがタバコを持ちながら死んでいるシーンの後改めてその写真を見ると、レックスの手はタバコを持っているように見える。

更に恐ろしい事に、睡眠薬で死んだテレサは写真では目をつぶっていて、首を吊って死んだボニーの左腕は不自然に上がりロープのように見える。そして写真のあとボニーはメアリーの顔を見ながら煙たそうに咳をする。メアリーは顔をオーブンに入れて焼け死んだ。つまりこの写真はのちに4人がそれぞれどのように自殺するかの伏線。気づいた時、鳥肌が止まらなかった。もうやだ、こわい。
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