二兵

ジャズ・シンガーの二兵のレビュー・感想・評価

ジャズ・シンガー(1927年製作の映画)
3.5
映画史の勉強も兼ねて鑑賞。1920年代に作られた、世界初のトーキー映画として知られる作品。と言っても声が出るのは殆ど歌うシーンばかりで、普通のセリフは大半がテロップで表示される。サイレント映画特有の役者のオーバーリアクトも健在。

ユダヤ人であり、厳格なユダヤ教司祭を父に持つ主人公がジャズ・シンガーになるというストーリーは、この作品が作られた時代の歴史的背景を伺わせる。しかし、強烈だったのが終盤の主人公の黒人メイクで、これはもう当時の反応はどうだったんだろうか…。時代が全然違うが、何となくローレンス・オリヴィエが『オセロー』で黒人メイクで出てきたのを思い出した。

自身のバックボーンであるユダヤ教の聖歌を取るか、夢であったジャズを取るか。最終的に主人公が下した決断とは…。

まあ、ここまで上手く行く筈は無いよなと思いながら観てしまったが、それでも名作であることは、今さら疑いようが無いと思う。

何と言ったって『You ain't nothin' heard yet(お楽しみはこれからだ)』し、『Show must go on(ショウは続けられる)』のだから。
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