KnightsofOdessa

ジャズ・シンガーのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ジャズ・シンガー(1927年製作の映画)
2.5
No.35[声を得た映画が失ったもの] 50点

以前ハッピーセットのCMで喋るおもちゃに対して"ギェェェシャベッタァァァ"と子供が騒ぎまくる危ないやつがあった。1927年当時の人々も同じ反応をしただろう。しかし、我々が産まれた頃には、映画は当たり前のように喋っていた。つまり、現代における本作品の価値は"最初に声を得た"という点以外になく、日本で二番目に高い山である北岳が知られていないように、二番目以降だったら価値を失う様な類の映画だ。内容も極めて平坦でコメントも浮かばない。

声を得たことで表現の幅を広げたかのように見えるが、向きまで変わってしまったから最早比べることは出来ない。無声でしか表現できないもの(者も物も)は技術革新によって棄てられていき、ハリウッドはつまらんミュージカルの時代に突入する。無声映画好きにしてみれば、"失ってしまったからこそ、その尊さが分かる"という理論には賛成だが、声の獲得によって表現方法はある種陳腐化してしまったと思う。

最初に喋ったのはジョルソンじゃないってのが一番ウケる。"お前かよ!"って思わず突っ込んでしまった。