Yui

柳と風のYuiのレビュー・感想・評価

柳と風(1999年製作の映画)
4.0
久しぶりに映画を観ながら喋りまくってしまった。声を出さずにはいられなかった。脚本がアッバス・キアロスタミだったので鑑賞したのですが、凄いなぁ。本当、裏切らない。越えてくる。

学校の窓ガラスを割ってしまった少年が"今日中に直せ"と言われ奮闘するという、シンプルなストーリーにも関わらず、深みが凄い。

「はじめてのおつかい」を100倍過酷にしたような試練が主人公を襲い続けるんだけど、もう目が離せないし、ドキハラし過ぎていい意味で疲れる。
お金はどうする?!ガラスのサイズは?!どう運ぶ?!取り付けは?!

時間内に一生懸命、全身と頭を使って窓ガラスをどうにかしようと諦めない主人公がとても純粋でいい子。その純粋さ故に、全てを一人で抱え込んでしまうので、見守る事しか出来なくてめちゃめちゃ歯痒かった。
こんな純粋な子、今もいるのかな…。
でも、こういう理不尽さは、日本人には理解しがたいのかもしれないし、甘えられないという国、時代だったのかなとも思った。

シンプルかつ短い時間の中で、こんなにも心動かされてしまうのがとても心地良い映画でした。彼の守護天使にでもなったような、心配と愛しさでいっぱいになります。

ただ、何度も「おい!!大人ぁぁぁ!!」って気持ちにはなりますが、そこは置いておく感じで。

先日観た「桜桃の味」がアッバス・キアロスタミ監督を知った作品だったのですが、今作も言葉にし難い味があって、好き。暫くハマりそう。
なんか、美しいんだよなぁー。風景も脚本も。心がザワザワします。おすすめ。
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