タラコフスキー

柳と風のタラコフスキーのレビュー・感想・評価

柳と風(1999年製作の映画)
5.0
アッバス・キアロスタミが関わってるものの脚本だけだからとスルーしていたが、ふとしたきっかけで気になり見てみるとその名作っぷりに驚嘆して感動した。

自分は以前から子供が活躍する映画が大好きなのだけど、少年らが短い時間で育む友情模様とか雨に打たれたり野を駆ける姿とかが実に輝かしくて、見ているだけで胸を打たれる。

加えてこの作品のメインであるガラスを持ち運ぶ使命も、映画とはいえこんなことやらせるなんて脚本家も監督も酷な事をさせるもんだと思いつつ、子供が一生懸命な姿にはハラハラさせられながら神々しさや美しさみたいなものすら感じられ、ひたすら見入るしかなかった。(特に雨と風に吹かれた枯葉がガラスに当たるシーンの素晴らしさは筆舌に尽くし難いものがある)

終盤には見ているこっちまで頭を抱えてしまう展開が待ち受けているものの、それでも諦めない主人公と最後に見える一縷の希望には思わず感涙してしまい、こんな傑作なら放置せずもっと早く見たかったと後悔した。

しかしこれ程までに瑞々しくも過酷でありながら美しい傑作を手がけた監督が、脚本のキアロスタミや同じキアロスタミの脚本でデビューして脚光を浴びたジャファール・パナヒらと違って知名度が低い現状は、なんとも不可解極まりない。