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シザーハンズのLzのレビュー・感想・評価

シザーハンズ(1990年製作の映画)
4.2

切なくて無垢な愛が彼らを覆っている。たった一瞬、一度抱き締め合ってひとつの愛の言葉を交わすことしか出来ない純愛。それでも彼らは確かに、死ぬまで愛し合っていた。

ティム・バートン監督の作品に更に興味を持つようになったきっかけの作品。ファンタジックでありながらそれを全面に押し出さず、あくまで人の住む世界での出来事だということを強調している。鮮やかな色彩の街並みと打って変わって、エドワードの住む世界、エドワード自身は生気も感じないような白と黒。だけど彼は無垢で純粋で、真の幸せを心の底から感じていたのはきっと彼だけ。これもまた、ティム・バートン監督が得意とする手法。これ何回言ってるんだろう、この手法好きだから在る度嬉しい。

エドワードは愛を知っていた。愛されることも、それが失くなる哀しさも。だけど、愛を愛で返すことを教えてくれたのはきっとキム。
「私があなたを愛しているように、あなたも私を愛して。」キムからは、そんな思いが溢れているように思えた。無垢で無知な彼を、支えるだけの覚悟がキムにはあった。けれど、それが思い通りにいくはずがないということも、賢い彼女は知っていた。
だからこそ、切ない。美しい二人が織り成す愛は、脆弱でありながら芯が強く真っ直ぐなものだった。そんな純粋な二人の愛を打ち壊すのは、いつだって、外野。

ジョニデもウィノナ・ライダーも抜群に可愛い。小動物のような愛らしい顔立ちでありながら、凛とした美しさも兼ね備えた魅力たっぷりの二人。ウィノナは黒髪の方が好きだけれど、この役どころはウィノナしか合わないし、金髪でなければここまでの美しさは出ない。あの儚さはウィノナそのものの美しさの賜物。

キムが愛の言葉を放つ時、あのシーンは何度見ても泣けて、その手前ぐらいから目を張って気合を入れて見るのがお決まりになってる。それほど好きなシーン。何度見ても切なくて、切実で、2人の愛に感動するばかり。
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