「東京上空いらっしゃいませ」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

不慮の事故で亡くなった新人モデルが地上に舞い戻る話。

チープさや不完全さ、いびつさも丸ごと愛してしまいたくなるような作品。

牧瀬里穂が死を目前にして初めて生を実感し、キラキラと輝き出す。未完成でいびつだけど唯一無二の存在感がある。


あとやっぱり「帰れない二人」が良い。

結婚式の二次会が開かれているライブハウス。新郎新婦、参列者を前にして歌われる「帰れない二人」。
ひとしきり盛り上がったあと、新郎新婦と参列者たちは舟へ乗りいなくなってしまう。
ユウにも約束されていたはずの将来との、人生との決別が悲しくも美しい。

世界に取り残された二人に与えられたわずかな時間が
ずっと続けば良いのにと願わずにいられなかった。


”もう星は帰ろうとしている 帰れない二人を残して”。
17歳でモデルの神谷ユウ(牧瀬里穂)は所属事務所の専務・白雪恭一(笑福亭鶴瓶)に肉体関係を迫られ、逃げるが自動車にはねられ死んでしまった。
死神コオロギ(笑福亭鶴瓶)はユウを東京上空に連れて行くが、彼女はコオロギを騙しもう一度同じ姿で現世に戻る事に成功する。
その頃ユウのマネージャーである雨宮文夫(中井貴一)らは白雪の厳命でユウが死亡した事を表向きには隠す事になって・・・。

『セーラー服と機関銃』の相米慎二監督作品。
『セーラー服〜』もそうでしたが、長回しで女優の移りゆく表情を撮るのが上手い監督さんでしたね。
今作も牧瀬里穂演じるユウが自分の死に戸惑い、でもここに居るのに…という葛藤する姿が素晴らしい。

しかし現在は日本から撤退したファストフード店“デイリークイーン”がめちゃめちゃ懐かしかったなぁ!
出来ればあのソフトクリームも映してほしかった(笑)

泣かせようと思えば泣かせられる題材だが爽やかに終わらす作りで、これも相米慎二監督らしいなと思えましたね。
交通事故死したハイティーンのモデル(牧瀬里穂)が、自身が扮した広告キャラクターの姿を借りて、この世に戻ってくる…。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ゴースト』などなど、こうしたファンタジー系の作品って、主人公の置かれた特異な状況とタイムリミットを、明確に説明&設定した方が盛り上がる。
ほら、スポーツ観戦だって基本的なルールを理解してた方が楽しめるでしょ?
本作はそこら辺の”ルール作り”があいまいというか、グダグダなのでのめり込みにくい。実にもったいない。
ただ、その舌っ足らずな感じが、描いている青春期特有のもどかしさや軸足の定まらなさと妙にマッチしていて、不可思議な魅力がある。
『セーラー服と機関銃』や『台風クラブ』などで知られる相米慎二監督お得意の長回しによる独特の感触が、奇妙な味わいをいっそう増幅してる。
ホントに題名通り、宙ぶらりん、な感じ。ブサイクなんだけど離れられないカノジョ…とでも例えましょうか(笑)。
帰れない2人が良い。
『台風クラブ』に続き、相米慎二監督2作目。
この監督の撮る女の子好きだ。明るさと危うさを兼ね備えてるというか。

予備知識無しで、タイトルに惹かれて鑑賞。
『東京上空いらっしゃいませ』。途中でなるほど、と納得。

牧瀬里穂と鶴瓶の掛け合い、牧瀬里穂と中井貴一の掛け合いがテンポが良く、気持ちよかった。

あと、陽水の『帰れない二人』がこれでもか、というほど流れてたのが印象的。いろんなバージョン、アレンジで。
中井貴一のトロンボーンをバックに牧瀬里穂が歌う場面はどこか切なくて良かったが、歌声が明らかな吹替で少し萎えた。
長回しの中で牧瀬里穂が躍動
船の上で語るとこ良い

相米監督平手ちゃんで映画撮ってほしかった…
牧瀬里穂可愛すぎ。中井貴一変わらなすぎ。鶴瓶が前から映画出てたの知らなかった…(だからディア・ドクターもうまかったのか)。
何回かヤバ目のショットあったんだが、やっぱり舟の上での花火越しの薔薇をバラバラやってるとこは秀逸。あと牧瀬里穂が踊るワンカット、切なすぎ。相米慎二なんで今いないの…
岡本喜八の回はあんまり人がいなかったのに相米慎二になるとこんなに人が来るのか、とブランド力を実感

役者陣の演技と主題歌の煩さが鼻につき、全く乗れないまま終わってしまった

このレビューはネタバレを含みます

ゴールデンウィークは自宅で映画鑑賞しよう、と、前々から気になってた「東京上空いらっしゃいませ」をVHSでレンタルしたら、ネット情報で、神保町シアターでスクリーン上映&満席続きだったことを知って、まあちょうどいいタイミングでレンタルできたからいいかなあとVHSで鑑賞。

映画の始まりから薄々、そして中盤で確信、ラストで、私の頭の中は、なんで私はスクリーンで観なかったんだー!とはっきり後悔していました。

もうしばらくスクリーンで上映しないみたいだし、とか、スクリーン上映がっつり見逃したし、とかなら悔しくもないのですが、なんでこのタイミング……、と、情弱な自分を責めつつ、映画はとても面白かったです。

若くてやりたいこともたくさんある女の子が、キャンペーンのアイドルになって、不自由どころか酷い環境におかれるのだけど、そこから逃げようとした時に事故で亡くなってしまうのです。

そして、天国のようなところで神様のような人と、交渉というか騙したりして、自分の見た目のまま、この世に戻ってくるのですが、自分の死を知ってる人に会ったら、もうこの世にはいられなくなるというルールも設けられるのです。

だから、大切な人に会えないし、誤解もとけないし、復讐もできないので、観てる側としては結構もどかしくなるのですが、このアイドルは、自分の人生の方向性かえましたー、普通の女の子として生きることにしましたー、というくらいの軽さで、戻ってきてからのこの世を楽しむのです。

このストーリーといい映像といい、妙な安っぽさと、変すぎる感じが同居してるのだけど、それがまたコミカルで良かったです。

カメラには写らないから、自分が本当は死者であることを自覚するしかなくて、でもアイドル時代の不自由さを取り戻すように、せっかくだから楽しもうとする姿はほんと生き生きとしていて、その浮き世離れ感に笑えたりもするけど、やっぱり切ないのはこのアイドルが死者だとわかっているからで、ラストにかけて、現実感がないくらい幸せで美しいシーンを観ながら、この設定だから、この世がこんなに天国のように見えるのかもしれないなあ、と、思ったりしました。
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