エリオット

熱帯魚のエリオットのレビュー・感想・評価

熱帯魚(1995年製作の映画)
4.3
90年代半ばのユニークな台湾映画の傑作

台北でボンクラな生活を過ごしながら高校受験を控えるツーチャンは誘拐事件に巻き込まれるが、これまたボンクラな誘拐犯のアケンは少年たちを行くとところに困って自分の故郷に連れ帰る始末。
そこに住む犯人の家族もまたまたボンクラで、被害者と加害者一家の不思議な共同生活が始まる。

そんなボンクラな彼らの行動がユーモラスに描かれていくが、これが長編デビュー作のチェン・ユーシュン監督の彼らに対する視線はどこまでも優しく愛しさに溢れている

ホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンといった先輩たちの雰囲気も残しつつ、夢見がちな少年の空想場面などとてもカラフルかつキッチュな作りで、先達とは明らかに異なる軽さやポップさが全面に押し出されている

世間が大騒ぎしている誘拐事件も少年にとってはちょっとした小旅行のようで、旅先で出会った少女に恋い焦がれたりするのだが、タイトルの「熱帯魚」も関わるその淡い恋の行く末の切なさには泣かされてしまう…