蠢く会社員

アヒルの子の蠢く会社員のレビュー・感想・評価

アヒルの子(2005年製作の映画)
4.0
覆されました。
生きる事に本当に真面目で、物凄く泥臭い。
戦時中の国のドキュメンタリーも泥臭くて胸に刺さるけど、日本も泥臭いんだよな…と気付かされました。

どれだけの人が家族や自分について、適当に流さずにぶつかってるでしょうか?
「家族とは何度もぶつかったけど、乗り越えて強い絆がある」程度では適当に流してる部類です。
勿論私は「適当に流してる」部類です。
ぶつかるとは、この映画の様な事を言います。
家族は、ぶつかると崩壊するのです。
同様に、自分にもぶつかると崩壊します。

そんなぶつかる行為を敢えてしています。
これは本来、しなくてもいい事ですし、一般的には自己解決して進んで行く話です。
しかし、ぶつかり始めたせいで、この映画内の監督は、積み重なった様々な物が別の感情や別の形を成していきます。

一見、よくいる20前後の女の子にも見えるのです。
でもこの監督は違います。
一般的な女子が、自己で解決すべき感情を、あまりにも生きる事に素直で、真面目過ぎるため、爆発させてその先を求める。
ここまでは割といます。
爆発のさせ方が様々ですが、私は爆発させて先を見たり、先に行った方を何人も見ています。
でもこの監督は違います。
爆発を作品と出来るところがぶっ飛んでます。
更に言えば、7年前の作品、10年以上前のこの作品をまたリバイバル上映出来るところ。
これがこの監督が他と違うところです。

本当にお世辞抜きで、真っ直ぐに、この人は凄いわ…と思いました。

あと…
インタビュー形式でさまざまな人が出てくる後半は、また別の楽しみ方があります。
人それぞれ考えることがあり、それをどれだけ自分で解決、処理をしていくか。
その部分を見るだけでもめちゃくちゃ面白いです。

DVDは作る予定は無いし、今後の上映が無くなる可能性も0ではないと思うと、この映画を本当は他の人にも勧めたいけど、出来ない点が残念です…。