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簪(かんざし)のkazu1961のレビュー・感想・評価

簪(かんざし)(1941年製作の映画)
3.8
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2021-737 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋昨日鑑賞した同じ清水宏監督作品の『按摩と女』と世界観がそっくりですね。良い意味でシリーズ的なイメージがします。オープニングの山道を歩く人たちの移動式撮影のロングショット、山間の落ち着く温泉宿が舞台になっていること、按摩の通常人と変わらない様を描いていることなど、ほんとマイノリティに寄り添う姿勢や、絵画的な詩情を描いている点ではまさしく同じですね。

🖋また人物描写の美しさも同じで、前作では傘をさした高峰秀子、本作では傘をさした田中絹代と、ブロマイド的な美しい病者もほんと同じ。その構図は清水宏監督ならでは。

🖋なので本作の見どころと言えば、笠智衆と田中絹代の微妙な関係性を描いているところか。この二人の出演は当時話題になったようです。しかしながら、簪が刺さったらあれだけ歩けないようになるのだろうか?という笠智衆のオーバーアクションには(笑)でした。。。

🖋本作、井伏鱒二が週刊誌に発表した『四つの湯槽』を、清水宏が脚色・監督したユーモラスな一編で、田中絹代と笠智衆が共演した作品としても知られています。
製作当時は日中戦争の泥沼と太平洋戦争開戦を控えた困難な社会状況でありながらも、人里離れた温泉宿を舞台にすることで、世相の厳しさが少し和らげられてやや牧歌的に描かれていると言われています(参考:Wikipedia)。

☺️Story:(参考: Amazon)
ある夏。東京の女である恵美とお菊は身延山への参詣をすませ、その夜下部温泉の宿に泊まった。その宿には学者の片田江や足の不自由な戦傷帰還兵・納村が逗留していた。ある朝、納村が風呂に落ちていた簪(かんざし)が足に刺さり負傷してしまう。翌日、その簪の落とし主から「簪を探してほしい」との手紙が届き、主人は納村に詫びに来るよう返事を出した。その簪の落とし主は恵美であった。わざわざ東京から詫びに来た恵美に対し、納村はすっかり恐縮してしまう。その後も東京に帰らず、納村の歩行訓練を手伝うなどして、逗留客たちと交流する恵美。じつは彼女は妾の身分であり、その生活から抜け出したいと考えていた…。

🔸Database🔸
・邦題 :『簪』
・原題 : ※※※
・製作国 : 日本
・初公開 : 1941
・日本公開 : 1941/08/26
・上映時間 : 75分
・受賞 : ※※※
・監督 : 清水宏
・脚本 : 清水宏
・原作 : 井伏鱒二
・撮影 : 猪飼助太郎
・音楽 : 浅井挙曄
・出演 : 田中絹代、川崎弘子、斎藤達雄、笠智衆、日守新一、坂本武

🔸Overview (参考:Wikipedia)🔸
『簪』(かんざし)は、1941年(昭和16年)に公開された松竹配給の日本映画。松竹大船撮影所製作、モノクロ、16mmフィルムで、「土橋式フォーン」を採用したトーキー作品。井伏鱒二の小説『四つの湯槽』を元に、監督の清水宏が自ら脚色した。
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