[なぜか英語字幕を読む羽目に] 90点
一度でもいいから、足に刺さった簪に情緒的イリユージヨンを感じたい人生でした。私がそんな人生送るには一回死んでやり直した方が早いような気がする。日曜の午前からそんな悲しい思いはさせないでくれ…なんて思いも束の間、二階の安部屋をぶち抜く空間の広げ方に驚くことになる。最初の頃は、学者先生や納村など個人の部屋を窓側から覗いていたのに対して、恵美がやって来てからは人物たちの交流も深まって部屋を区切る障子を開けて心的空間を広げているのだ。そして物語も、学者先生を中心にギャグを散りばめつつ、基軸には恵美と納村の淡い感情がある。美しすぎた。
ちなみに、劇中で簪が登場することは一切ないんだが象徴的なものは幾つか登場する。まず松葉杖がそうだろう。あとは、納村がリハビリのセカンドステージに選んだ橋もあの細さ故に該当する。ラストの階段も高低差を生みつつ、空間を垂直に伸ばすことで簪の長さを思い起こさせる。どれも印象的な場面だ。
そもそもだけど、簪って風呂の中でも差しとくもんなんすか。