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黄金時代のadeamのレビュー・感想・評価

黄金時代(1930年製作の映画)
2.5
ブニュエルが衝撃的な前作「アンダルシアの犬」に続いてダリと脚本を書いたシュールレアリズム作品。
海辺の崖でのミサと骸骨と化す司教、野垂れ死ぬならず者たちに欲望を抑えきれない男女。
とりとめのない映像のコラージュは今作でも健在で、うっすらと筋らしきものがあるので物語としては進歩したのかもしれませんが、自由な発想の連鎖と飛躍に身を委ねる楽しさは薄くなってしまった印象でした。
カットとカットの繋がらなさ、ロケーションとシチュエーションの不一致、非合理的な展開、関係性が希薄な場面間のカットバックと映像における不整合を見せることを徹底しており、映像という媒体におけるシュールレアリズムをより意識的に探求したのであろうことは感じられました。
特に意図的にリップシンクさせない演出はトーキーが普及した時代だからこその着眼点で驚きでした。
腐敗した宗教や特権階級への風刺と、人間の不確かな道徳心に対するブラックユーモアが既に発揮されていますが、今作の表現手法との親和性が高いとは思えず、後年フランスに戻ってからのユーモアが増した作品の方が見事に炸裂している気がしました。
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