MANU

スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃のMANUのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

2002年(アメリカ)
原題:STAR WARS: EPISODE Ⅱ - ATTACK OF THE CLONES

監督:ジョージ・ルーカス
脚本:ジョージ・ルーカス、ジョナサン・ヘイルズ
音楽:ジョン・ウィリアムズ

出演(日本語吹替):
ユアン・マクレガー(森川智之)
ナタリー・ポートマン(坂本真綾)
ヘイデン・クリステンセン(浪川大輔)
クリストファー・リー(羽佐間道夫)
サミュエル・L・ジャクソン(玄田哲章)
イアン・マクダーミド(小林勝彦)
アンソニー・ダニエルズ(岩崎ひろし)
ケニー・ベイカー(吹替なし)
テムエラ・モリソン(金田明夫)
フランク・オズ(永井一郎)


製作:リック・マッカラム
製作総指揮:ジョージ・ルーカス

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STAR WARSシリーズの中でEP1に引き続き批判の多いのがこの作品。理由はアナキンとパドメのロマンスが物語の主軸となっているから。
普段はアクション大作に恋愛や色恋沙汰のエッセンスを求めない僕ですが、この作品についてはトリロジー全体におけるEP2の役割として不可欠要素であると言えるんじゃないかと思います。

EP3にかけてダース・ベイダーが誕生するストーリーの2作目というからには、どうしても主人公の転落描写は避けては通れません。

ジェダイである主人公の転落とは即ちフォースの暗黒面の象徴である"怒り"と"恐怖"。
それを生み出すのは"欲望"と"執着"に過ぎません。

つまりナタリー・ポートマン演じるパドメへの"愛"こそがそれを表すことが出来ると言えます。
更に言えばその愛がなければオリジナル・トリロジーのヒーローは生まれないわけで。

その意味でこの脚本は非常に秀逸なものだと言えるんじゃないでしょうか。

欲望に忠実に、ほとんど迷いを見せず堕落の一途を辿るヘイデン・クリステンセンのサブイボ芝居は置いといて、義務と規則を忠実に守ろうとするものの、アナキンの真っ直ぐな想いに心が揺さぶられて徐々に迷いを生じていくパドメを演じるナタリー・ポートマンの繊細な演技は本当に目を見張るものがあります。
ラストの結婚式のシーンでの表情に至るまで本当に見事な表現をする役者さんだなと改めて感じました。

そして彼らのロマンスと転落を見る上で欠かすことが出来ないのがBGMの存在。
甘酸っぱい色恋の幸せと、その裏に隠された破滅と転落の切なさとの両方を如実に表現しているのが、巨匠ジョン・ウィリアムズによる"Love Theme"こと"Across the Stars"。

実は小生にとって初めてSTAR WARSシリーズを劇場で観賞したのがこのEP2。

小学4年生当時父親に連れて行ってもらったのですが、間も無く思春期に差し掛かろうかという多感かつ純粋な時期に、アナキンとパドメの恋のバックで流れるこの音楽に、何とも言えない切ない気持ちにさせられたのを覚えています。

「劇伴」という言葉や映画音楽の重要性などを理屈として理解するのは、それから何年も後のことになるのですが、思えば「劇伴」というものを、本能的かつ潜在的に初めて意識したのはこの時だったのかもしれません。

その時の感覚は今でも消えず、このシーンと音楽を目にした時はいつだって同じ気持ちにさせられるのだから、やっぱり「劇伴」というものは映画という映像芸術において欠かせない存在であることの証明であるとともに、ジョン・ウィリアムズという劇伴作家の偉大さを思い知らされます。

と、ここまでは初見時の感想のみでも書けた話。

社会人になった今観ると、オビ=ワンとアナキンの師弟像をどうしても現在の自分に重ね合わせずにはいられません。

全ての職業に当てはまるかは分かりませんが、マスターとパダワンという関係性が、小生の職種における上司と部下の関係に非常に良く似て感じられるからです。

それで言うと自分はまだまだパダワンの年次。アナキンの感じる葛藤や成長を急いてしまう気持ち、そして上層部への不満や反発心には非常に共鳴出来るとともに、客観的に見てオビ=ワンは相当いい上司像だなと。笑

アナキンに共感する一方、こんなにいい上司いないのだから絶対に言うことを聞いた方がいいよと諭したくなる自分もいて。

自分はアナキンのようにならずにしっかり上司に忠を尽くすパダワン(部下)になろうとか、もし上司になった暁にはオビ=ワンのような姿勢や教えを説こうとか、思い返せばEP1のクワイ=ガンとオビ=ワンの関係性がベストなんじゃないかとか、自分の歴代上司をそれぞれクワイ=ガンやオビ=ワンに当てはめてみてどの関係性が1番フィットしていたかとか、色々考えてしまうんです。

年齢を経ることによって、今まで感じられなかった見方や感覚を与えてくれるこの作品はやっぱりとてつもなく素晴らしいなと思わされるわけです。

きっと5年後、10年後、20年後と、現実世界での僕自身の立場や経験値が変わる度にこの作品を見返せば、その度に新たなヒントや感覚を与えてくれることでしょう。

僕にとって「STAR WARS」というのはそれほどの魅力が、一生物の魅力がたっぷり詰まったものなんです。
MANU

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