リーマンショックにはじまった2008年の大不況にまつわるドキュメンタリー。
わたしは極東のかたすみでひっそりと会社員をしていたけど、その嵐はしっかりとやってきたのでよく覚えている。
まずオフィスの縮小や引っ越し、フロアにいた派遣社員が消えた。そうして一人あたりの業務量が引き上げられ死ぬほど残業。
工場の稼働は日々綱渡りで、客先に発注を懇願しながらも一方では過去の売上金回収に血眼。
この頃は日々鬼畜のようなことをしているなと思っていたけど、この作品に出てくる当時の金融業界責任者たちに比べたら子どもの使い程度だった。
彼らの欲は果てしなく罪悪感など存在しない。どこまでも手を回して自分たちが利益を上げられるように捕まらないように社会を、法律を変えている。
それが正義でありお金こそ権力。
規制が悪なのではない。
理性を保てない人間のために規制がある。
そんな規制をガバガバに緩めてやりたい放題していたという顛末。
崇高な理念と意志で政治家や学者になっても、結局お金には勝てない。
優秀な理系の人間がエンジニアではなく金融業界を目指すようになり、橋を作るよりも夢を作る。
その夢が悪夢でも、責任を負わないのか?
小難しいことをこねくり回して消費者を騙し、自分たちだけ甘い汁を吸う。
お金に支配された国は滅ぶのだろうか。
いつかみんなこの狂騒から目がさめるのだろうか。
『マージン・コール』『マネー・ショート』のような作り物ではなくホンモノたちが、いけしゃあしゃあとインタビューに答えてるので一見の価値ありです。