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フルメタル・ジャケットのEirainのレビュー・感想・評価

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)
4.2
「口でクソたれる前と後に『サー』と言え!分かったかウジ虫ども!」一度はどこかで目に(耳に)したことがあるのではないだろうか。そのバリエーション溢れる罵詈雑言で有名な、かの鬼教官・ハートマン軍曹が登場するのが本作『フルメタル・ジャケット』。あまりにも有名になり過ぎて、本作が「鬼軍曹による新兵鍛え上げ映画」と勘違いしている人も居るのではないだろうか・・・はい、決して鬼軍曹が主役の地獄の特訓映画ではありません。

舞台はベトナム戦争。志願兵として入隊、過酷な訓練期間(ハートマン軍曹活躍!)を経て、ベトナムの戦地に送られる兵士の姿が描かれる。原作は、グスタフ・ハスフォードが自身の従軍体験を基に描いた小説『The Short-Timers』。リアルな戦争体験を描いた小説が原作ということで、本作も「戦争の現実」が伝わってくる"ような"内容となっている。(私は戦争を経験していないので、あくまで"ような"。)

いかに過酷であろうと訓練は訓練に過ぎず、戦地に派遣されるも後方支援に回されて"戦争"を感じられずにいた主人公のジェイムズ。そんな彼が前線で「戦争の地獄」を全身で受け止めた時、彼の中で致命的に何かが変わってしまう。エンディングで流れるローリング・ストーンズの『Paint It, Black(黒く塗れ)』が何とも暗示的。
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